電子レセプトはレセプトを電子的にFD(フロッピーディスク)やCD-Rに記録しますので、印刷や総括といった処理が必要なくなります。今のレセコンはそのような処理もそれほど手間がかからないように工夫されていますが、電子レセプトに移行してみるとその印刷、総括の手間が如何に無駄な作業であったのかを実感できるでしょう。
電子レセプトを開始する手続きはこちら(電子レセプトの開始申請)をみていただくとして、このページでは毎月の電子レセプトの実務を解説していきます。
電子レセプト対応のレセコンで電子レセプトを作成します。各レセコンによってその操作は違いますが、通常はチェック、集計までは従来と同じ操作で、印刷処理の代わりにFDやCD-Rへの書き込み処理が続きます。
以下にカルテメーカーでの処理を併記しつつ具体的な電子レセプトの作成手順を解説していきます。
電子レセプトの場合「受付エラー」というのが発生します。これは記録データの誤りのためデータの読み取りができなかったエラーです。このエラーが発生したレセプトは返戻ではなく未提出のレセプトとして扱われます。
受付エラーがあった場合は、このような連絡書が送られてきます。
この受付不能エラーを起こしたレセプトは、訂正したうえで、
電子レセプトとして翌月以降の電子レセプトに混ぜて請求
紙レセプトに印字して、返戻レセプトに混ぜて請求
のどちらかの方法で再請求を行います。どちらの方法で行うかはお使いのレセコンの対応状況によります。
1、月次チェックと訂正
パレットメニューから「カルテチェック...」を選択
実行ボタンを押してチェックを開始
チェックが完了したら、総合情報→「チェック結果一覧」を選んでチェック結果を表示
チェック行をダブルクリックしてカルテを表示、必要に応じて修正
チェック一覧画面にして、編集メニューからすべてを選択(コマンドーA)を実行しすべての行を選択状態にする。
選択メニューから「チェックマークをセット」を実行。チェックマークがすべての行につく。
2、レセプト集計
パレットメニューから「レセプト集計...」を実行
3、集計時エラーの確認と訂正
月次チェックと同じ画面を開く。(総合情報→「チェック結果一覧」)
選択メニューから「未チェックエラーを選択」を実行
病名の不足、レセ電コードへの変換エラーなどがチェックされている。
チェック業をダブルクリックしてカルテを表示させ、カルテを修正
カルテ画面のままスペシャルメニューから「レセプト発行」を実行
ーーーーーーここまでは印刷レセプトも同じ処理ーーーーーーー
4、月遅れ分(受付エラー分)の発行
※前月、受付エラーが発生したレセプトはこの処理で今月分に含める
該当するレセプトのカルテを開く。
受付エラーの原因を訂正
スペシャルメニューから「レセプト発行」を実行
中央の「月遅れ処理」をチェック
上の「のレセプトを集計します。」の月を受付エラーのあった月に変更する。
下の月は変更しない。このようにして集計
5、プレビューでチェック
※紙レセプトなら印字してから最終チェックをするが、その代わりにプレビューでチェックする。
総合情報→「レセプト一覧」
最初の行をダブルクリックしてレセプトプレビュー画面にする。
三角マークボタンで前後に移動。
「カルテ参照」ボタンでカルテを表示(請求月の範囲を表示)
「レセ再発行」ボタンでレセプトを再集計
チェックが終わったら、OKボタンで一覧表示にもどす。
6、電子レセプトの発行
「電子レセプト【社保】発行」ボタンを押して社保分の電子レセプトを発行
発行された電子レセプトは2009年6月診療分なら、
「¥カルテメーカー¥電子レセプト¥200906¥社保¥RECEIPTS.UKE」として保存される。
f200906という部分が月によって変化する。
「電子レセプト【国保】発行」ボタンを押して国保分の電子レセプトを発行
「¥カルテメーカー¥電子レセプト¥200906¥国保¥RECEIPTS.UKE」として保存される。
電子レセプトは「RECEIPTS.UKE」という名前のテキスト形式のファイルです。これをFDやCD-Rに記録します。
レセコンの機種によってはレセプトの発行の一連の処理としてFDやCD-Rへの書き込みもするものもあります。この場合は指示に従って空のFDやCD-Rをコンピュータに挿入します。
特定のフォルダにファイルが記録される場合は、そのファイルをFDやCD-Rへ手動でコピーします。この場合、正・副2枚ずつ作成します。社保で2枚、国保で2枚作成します。
1枚は支払機関に提出し、もう一枚は手元に保存しておきます。
FDやCD-Rが破損していて支払機関でデータがまったく読み込めない場合はすぐに連絡が入りますので、保存しておいた媒体を再提出します。
記録媒体には決まった項目を記入しておく必要があります。FDの場合シールのラベルに印刷してそれを貼付けますし、CDの場合はフェルトペン等で直接書き込むかレーベル面に内容を印刷します。
カルテメーカーではFD用のラベルを印刷できます。
媒体異常の受付エラーを避けるために提出前に中身がちゃんと記録されているかどうかを確認するといいでしょう。「RECEIPTS.UKE」の中身はテキストファイルですので、「メモ帳(Notepad)」等のアプリケーションで開いて中身を見ることができます。
通常「.UKE」という拡張子は対応するアプリケーションがありません。このためメモ帳で開くには右クリックして「プログラムから開く...」を選んでメモ帳を指定して開きます。でも毎月することで、この操作では面倒ですので「.UKE」を「メモ帳」に関連付けておくと便利です。
中身を全部目視でチェックすることは不可能です。ですので提出時にこの部分はチェックしたほうが良いという部分を紹介します。
■ポイント1:ファイルの1行目
1行目は医院基本情報です。4月診療分の電子レセプトならこんな感じです。次の項目をチェックします。
UK,1,13,3,1542000,,デモ歯科医院,42105,0104,00
第1項目: 「UK」に固定
第2項目: 社保なら「1」、国保なら「2」です。
第3項目: 県番号です。
第4項目: 歯科なので「3」
第5項目: 医療機関番号
第7項目: 診療機関名
第8項目: 請求月です。最初の1桁が年号「4」なら平成、次の2桁が年「21」年、次の2桁が月「05」
なので5月。請求月なので診療月の翌月の表示なります。
■ポイント2:ファイルの最終行
最終行はレセプトの合計情報です。ここで、請求枚数と点数を確認します。
GO,98,121441,99
第1項目: 「GO」に固定
第2項目: 請求件数です。公費分は別の1件とカウントされるので、全部の枚数+公費の枚数となります。
例えば100枚請求し内10枚が公費併用なら110と表示されます。
第3項目: 合計点数です。レセコンの当月の請求点数と一致していることを確認してください。
電子レセプトではFDやCD-Rに「送付書」を添付して支払機関に提出します。
ひな形は基金の様式集(http://www.ssk.or.jp/yoshiki/index.html)にありますので、それをダウンロードして必要な事項を記載します。
送付書の印刷機能があるレセコンの場合はそれを使って印刷します。
社保の様式は全国で同じですが、国保の場合は県によって対応が違います。東京都の場合は国保の総括請求書とほぼ同じ内容の送付書を添付します。国保の場合は本請求の前に送付書の様式を確認しておきましょう。
カルテメーカーでは社保も国保も送付書を印字できます。
レセプトの返戻は電子レセプトであっても印字された紙のレセプトが戻ってきます。返戻自体は従来通りで返戻理由は印字されたレセプトに「返戻付せん」が添付されてきます。
返戻レセプトは従来の紙レセプトと同じように総括請求書を作成して請求します。まとめ方や総括の計算も同じですが、その月の全部のレセプトが対象ではなく、実際に請求する返戻分だけを対象に計算します。
レセコンに返戻分の総括機能があればそれを利用して総括請求書を作成しもよいでしょうし、手書きでも構いません。
受付エラーを紙レセプトで再請求する場合も、この返戻分に混ぜて総括し請求します。
これを返戻レセプト分繰り返し、すべての返戻レセプトを登録
社保総括表
国保総括表
総括表、国保の場合は必要なら請求書も作成し返戻レセプトを編綴する。レセプトの順番も従来の紙レセプトと同じ。
提出そのものは従来と同じです。東京都で歯科医師会会員であり会で整備会等をしている場合は歯科医師会に同じように提出します。入会していない場合は基金と連合会に直接提出します。
私の場合、FDは購入時についているプラスチックのケースにいれて整備会に提出しています。