電子レセプトの猶予期限終了がいよいよ迫ってきました。レセコン、電子カルテを利用している場合、平成27年4月診療分以降は電子レセプトしか受理しなくなります。平成27年の4月診療分以降ということは、平成27年5月10日には、必ず電子レセプトで請求する必要があるということになります。
電子レセプトでの請求にはCDのような媒体で提出する方法とオンラインで行う方法があります。どちらの方法でもすぐにはじめることはできません。提出開始までに必要な手続きがあります。最終期限に間に合うように日付けをいれていますが、直前には申請が集中して基金の事務処理が滞りこの期日が守れない可能性もあります。できるだけ早く申請を行うようお勧めします。
このページではオンラインでの提出時の申請手続きを解説します。電子媒体での方法はこちらをご覧ください。
1、回線の申込 平成27年3月末
2、オンライン、電子証明書の申し込み 平成27年3月20日
3、ツールの到着と設定 平成27年4月12〜15日
4、確認試験 平成27年4月31(国保は25)日
5、本請求の開始 平成27年5月10日
オンラインで使える回線は「ISDN」「IP-VPN」「IPsec+IKE」の3種類です。
「ISDN」はすでに終わった技術ですので新たにこれを申込むメリットはまったくありません。でも、医院や自宅にすでに引いてある場合はそのまま利用できます。
「IP-VPN」は主にNTTが提供している回線で一般的には「フレッツ」という光回線です。インターネットへの接続でごく普通に使っている回線ですが、最初からインターネットとは別にNTTが提供する閉域IP網を利用できるようになっています。新たに回線を引くならこれが1番です。全国で利用できますし、IP-VPNを使うための追加の費用がいらないので結果的にこれが一番安く運用できます。ただ「フレッツ」の中にもいろいろな種類があって、IP-VPNが利用できないものがありますので引く前に確認をしてください。
「IPsec+IKE」はインターネット回線上に仮想の専用線を引くような方式です。「フレッツ」以外の回線を使っている場合は、この方式で新たに回線を引くことなくオンライン請求が使えるようになります。このサービスはいくつかの業者が提供していますので、詳細や工事は直接その業者に問い合わせます。回線費用に加えて「IPsec」のための別の費用が発生しますのでランニングコストはかかります。
すでにISDNあるいはフレッツの回線がある場合は問題ありませんが、それ以外の場合はNTTあるいはIPsecを提供する会社に連絡して回線を引いてもらう必要があります。申し込みから開通までは通常、数週間はかかると思いますので早めにお申し込みを済ませておきましょう。
ネットワークの接続に関することは基金のネットワークサポートデスク(0120-220-571)に電話すると丁寧に教えていただけます。
オンラインの申請には2種類の書類が必要です。「電子情報処理組織の使用による費用の請求に関する届出」と「電子証明書(発行・失効)依頼書」です。
『電子情報処理組織の使用による費用の請求に関する届出』を支払基金と国保連合会の両方に提出します。提出先は県の基金と連合会です。東京なら
社会保険診療報酬支払基金東京都支部
東京都国民健康保険団体連合会
に申請します。
用紙は基金や連合会に連絡すると送っていただけますが、支払基金のwebサイトの様式集(http://www.ssk.or.jp/yoshiki/yoshiki_01.html)からダウンロードすることもできます。
ワード文書なので、必要な事項をワードで埋めて印刷することができます。
申し込みは郵送かFAXですが、申し込み前に基金と連合会に連絡をいれ確認しておくと良いでしょう。
締め日は毎月20日です。
5月の請求に間に合わせるには平成27年3月20日までに申請をしないといけません。
・「費用請求を 開始 変更 」とある部分は「開始」に丸をつけてください。
・審査支払機関名は所属支部の基金名や連合会名です。
・「点数表区分」は歯科に丸をつけます。
・医療機関名は注意してください。電子レセプトに埋め込まれた医院名と完全に一致する必要がありますので、カルテメーカーに登録された医院名を見て、スペースの有無、カンマや中点、ハイフンなどの記号などを良く確認してください。場合によっては登録情報の変更が必要な場合があります。その場合はすぐにご連絡ください。
・開設者の住所、氏名、保険医療機関の医療機関コード、所在地、電話、郵便番号は保険医療機関届で届け出た内容です。
・プログラム名称は、レセコンの機種名です。「カルテメーカー」と記入してください。
・ソフトメーカー名は、メーカー名です。カルテメーカーの場合「カルテメーカー製作所 矢嶋研一」です。
・請求開始・変更年月は請求を開始する月です。4月診療分から請求を開始する場合は、請求を開始する「5」月請求分からとします。
・パソコンの基本ソフト(OS)・ブラウザは実際に請求に利用するコンピュータOSとブラウザを調べて記入してください。請求用のソフトはOSやブラウザの種類やバージョンに強く依存しています。こちらのページを参考に記入してください。
・セキュリティー・ポリシーは「有」に丸をしてください。
・電気通信回線は利用する回線の種類にまるをつけ、ISDNなら電話番号、IPsecの場合は提供事業者名を書きます。
・確認試験の実施は「有」に丸をしてください。
もう一つの『電子証明書(発行・失効)依頼書』を同時に支払基金にだけ提出します。連合会には必要ありません。なりすましを防止するための電子証明書を発行してもらうための書類です。費用が4000円かかります。
なお電子証明書は3年で期限が切れます。切れると再発行が必要になりますが、期日が近づくと基金から連絡が来ますので、それに従って再申請してください。
・審査支払機関名は所属支部の基金名や連合会名です。
・開設者の住所、氏名、所在地、電話番号は上記の書類と同じです。
・機関種別は「保険医療機関」にチェック。都道府県番号はレセプトの県番号(国保の保険者番号の頭2桁)点数表は「3」、続けて機関番号を記入します。
・機関名称は上記の書類と全く同じにします。スペースの有無、カンマや中点、ハイフンなどの記号などを良く確認してください。
・電子証明書の使用用途は「レセプトのオンライン請求で使用します。」のチェックです。
・発行料は通常は「診療報酬支払額から控除することを希望します。」にチェックです。
申請の翌月の12〜15日にはツール一式が到着します。機器の接続方法や、ソフトのインストール、基金や連合会への接続方法などはマニュアルに詳述してありますので、それ通りに設定をおこなうと問題無くできるでしょう。わからない点はマニュアルにあるサポートデスクまで電話をしてみてください。丁寧に教えていただけます。
無事に基金、連合会のサイトにログインできれば導通試験は完了です。次の確認試験をします。
■接続例
参考:オンライン接続図
*一般的な接続ではONUとルーターの間にハブを設置してIP-VPNと一般のインターネットを切り分けるのですが、フレッツのサービスのよってはインターネット側の通信速度が極端に低下する場合があります。この場合、ONUとルータの間にハブを取り外してONUとルータを直結してください。請求用のパソコンはルータの下の一般のインターネットと同じLANに接続します。これで接続してみてください。もし、繋がらない場合はルーターの設定で、PPPoEパススルー機能をONにしてください。
オンラインでの確認試験は電子媒体の時とは違い、月末(連合会は25日)まで何回でも行うことができます。請求が行われない以外は本請求とまったく同じですので、本番前の予行演習として何回か行い、エラーを潰しておくといいでしょう。
請求に使う電子レセプトは実際の診療に基づいたものです。4月中なら3月診療分と4月診療分を確認試験に使うことができます。通常は本請求で使う同月の診療分の電子レセプトを使います。
電子レセプトの発行、請求はそれぞれのマニュアルを確認し行ってみてください。いろいろとエラーが発生すると思いますので、本番前にしっかり修正しておきましょう
なお、確認試験は今後もいつでもできます。診療月の電子レセを月の途中で時々発行し確認試験を受けて間違いを修正しておくと月初めの仕事が楽になります。
■参考
カルテメーカーによる電子レセプトの発行方法の動画です。
確認試験の翌月の5日からそのまま本請求が可能になります。接続先が違うだけで確認試験とまったく同じようにおこないます。
2重請求だけは注意してください。送信後、受付エラー、ASPエラーなどがある場合、送信データを忘れずに取り消してください。取り消さないで修正した電子レセを送信してしまうと2重請求になってしまいます。
通信機器に異常があってオンライン請求が不可能になった時は、基金と連合会に連絡を入れ、電子媒体での請求に切り替えてください。この場合、特に申請は必要ありません。